特許 令和3年(行ケ)第10131号「シート貼付構造体及びシート貼付構造体を用いて保護シートを貼付する貼付方法」(知的財産高等裁判所 令和4年8月22日)
【事件概要】
この事件は、特許を一部無効とした審決の取消しを求めた事案である。
裁判所は原告の請求を棄却した。
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【主な争点】
本件発明1と甲3-1発明との相違点3-1及び3-2が容易想到であるか否か。
【結論】
(相違点3-1)
甲4に記載された発明とその属する技術分野を同じくする甲3-1発明…においても、そのような利便性を図るため、甲4に記載された「第一の突起部343」及び「第二の突起部344」の構成を適用して本件発明1の「延出部」を設けることは、本件優先日当時の当業者において容易に想到し得たことであると認められる。…。
以上によると、本件優先日当時の当業者は、相違点3-1に係る本件発明1の構成に容易に想到することができたと認めるのが相当である。…。
(相違点3-2)
幅広い大きさの範囲(17インチないし82インチ程度)のディスプレイパネルをその貼付の対象とする甲3-1発明の光学フィルムにおいて、「PSA領域39」の個数を幾つにするかは、「積層体30」の材質、大きさ、重さ、硬さ、「PSA領域39」の材質、大きさ等の諸般の考慮要素を調節し、当業者において適宜選択し得る設計的事項であるということができる。したがって、本件優先日当時の当業者は、甲3-1発明の「PSA領域39」を「1箇所」とすることに容易に想到し得たものと認めるのが相当である。…。
以上のとおり、本件優先日当時の当業者は、相違点3-2に係る本件発明1の構成に容易に想到することができたものである…。
【コメント】
原告は、甲3-1発明の貼付の対象として超大型のディスプレイパネルが想定されているのを前提として、本件発明1の「延出部」のような部材は不要である、「PSA領域39」を「1箇所」にすると甲3-1発明は発明として機能しないことになる、といった主張をしたが、裁判所は、甲3-1発明が82インチ程度の大型ディスプレイパネルのみをその貼付の対象としていると認めることはできないとして、原告の主張を採用しなかった。